今回は息子くんじゃなくてその母主体の記事です。
福祉スイッチ
先日、身体的に不自由がある方が「自分に合った押しやすいスイッチを持っている」そしてその接続端子としてモノラルプラグで統一されているということを知りました。
その界隈の方には一般的なことなのかもしれないのですが、私は全く知りませんでした。
福祉スイッチ、という呼び方が正しいものなのかよくわからないですが…これで検索するとヒットします。
各自手持ちのスイッチのモノラルプラグを一般的に販売されている対応する機器などに差し込めば使えるということです。
普通のカチッと押すタイプのスイッチだと、昔ながらのナースコールのボタンのようなイメージです。健康診断の聴覚検査の時のボタンと言っても伝わりやすいかもしれません。反対側がモノラルプラグになっています。
こちらは先日機会があって作らせていただいた押しボタンスイッチ。
私の実の兄は重度知的障害者で今では就労支援のB型事業所で働いていますが、子供の頃は特別支援学校(当時は養護学校)に通っていました。
私が中学生の頃に網膜剥離を起こし今では全盲になってしまっていて身体障害者でもあり、知的障害による意思の伝達がとても難しい部分はあるものの、手先は割と器用なのでこういったスイッチのことを考えたことがありませんでした。
スイッチとしては身体にあわせたものが色々作れそうです。というかそんなこと言わなくてももう既に色々あるので次で軽く紹介してみます。
またモノラルプラグを繋いで制御する側も、マイコンでのモノづくりを趣味とする今の私にとって色々工夫して良いものが作れるのではないかと思い、とても興味を持ちました。
本の紹介
ご自身のお子様がスイッチを使ってらっしゃってお母さんご自身でも改造されるという方に、この本いいですよと紹介されました。その魅力的な本の名前!すぐにAmazonでポチりました。
「障がいのある子の力を生かす スイッチ製作とおもちゃの改造入門」です。
色々なスイッチの作り方が載っています。
福祉スイッチに興味を持ち、こちらの本を勧められ購入。
— とり子 (@siroitori0413) 2022年7月10日
めちゃくちゃおもしろい✨
というか知りたかったし知らなかった情報が沢山!
穴のあけ方とか、モノラルプラグのはんだ付け方法とか丁寧に書いてある。
買ってよかったー! pic.twitter.com/3yKxlfIvYV
こんな福祉スイッチがある
一部紹介したいと思います。
棒スイッチ
棒を曲げることでスイッチとして機能するものです。
株式会社エスコアール > 製品情報 > 電子工作キット
検索すると上記のようなものがありました。上記はキットとして発売されているようで良いですね!
(本の中に上記販売サイトの記載があるわけではありません)
ひもスイッチ
こちらはひもを引っ張るタイプのスイッチです。
株式会社エスコアール > 製品情報 > 電子工作キット
棒スイッチ・ひもスイッチどちらも使用動画が上記リンクのサイト内にありますのでご覧になるとイメージがわかりやすいと思います。
先に紹介した本ではこれらのスイッチの簡単な作成方法についての記載もありました。
制御する側
上記のさまざまなスイッチを制御するためのモノラルジャックのついたものです。
本でいくつか改造方法の記載があった中で以下を軽く紹介したいと思います。
改造リモコン
SONYの学習機能付きリモートコマンダー RM-PLX330D
www.sony.jp
上記リモコンにモノラルジャックを取り付ける改造方法が載っていました。
このリモコンは学習リモコンであり赤外線を読み込んで覚えさせることができるので、自分のスイッチ操作で目的のものに対して赤外線信号を送信することができるようになります。テレビはもちろん照明とかも。
これって改造しなくてもM5Stackでもできちゃいますね。距離があまり飛ばないのが欠点ですが…。
siroitori.hatenablog.com
改造マウス
USBマウスに穴を開けてモノラルジャックを取り付けることで、自分のスイッチ操作でクリックすることができるというものです。
介助者がマウス操作の補助をしてあげる必要はありますが、クリック操作を体の不自由な方が行うことができます。
聞いたところこれは界隈ではかなりメジャーな改造なんだそうです!
このサイトも教えていただきました。改造マウスの作り方が載っています。
higo.educ.kumamoto-u.ac.jp
そのほか本にはBluetoothコントローラーの改造なども記載されていましたが、どれもM5Stackなどのマイコンを使って自分で作れるものばかりでした。
改造は改造で楽しそうではあるのですが、マイコンを使った自作にすると自分で好きに挙動を設定できるので良いですよね!ということでちょっと作ってみることにしました。
早速自作スイッチケースを作ってみた
コンパスカッターで切り抜いてスイッチのケースにするというやり方が書かれていて私も同じように作りたいと思いました。
▲ コンパスカッター
そこへこの本を見た息子くんが言ってくれた一言にヒントを得て、早速ケースを作成しました。なぜかちょうど材料が全て家に揃っていました。
コンパスカッターでスイッチがはまる大きさにくり抜きます。
スイッチにハンダづけします。
それを鏡餅の穴の部分にはめ込んで、葉っぱをつけて敷紙を敷いたら・・・
できました〜鏡餅スイッチ!こいつぁ縁起がいいや!
M5StackでなんちゃってBluetooth対応機器
スイッチができたので今度はこれをM5Stackに繋いでみようと思いました。
モノラルプラグを繋ぐジャックはブレッドボードに刺さるという便利そうなものがあったのでこちらを購入して接続しました。こちらはステレオジャックですがステレオジャックはステレオプラグもモノラルプラグも対応できます。
eleshop.jp
ただこれをどう繋いでいいか自信がなかったのですが、先ほど紹介した書籍のジャックのハンダづけの説明のところをよく読んで、でもこれはモノラルジャックの説明だったのであとは薬院Make部のベテラン師匠に教えてもらって完全に理解しました。(ほんとかな)
出来上がったものがこちら。
えっと、ジョーク動画でした。
おわりに
M5Stackなどを使って便利なものができたとしても、それが利用者にとって使いやすいかどうかは別問題ですよね。
スイッチでマウス入力できるものをM5Stackで作っても、利用者は最初に使いたいPCでBluetoothの設定をすることが必要です。また、もっと色々なことをできるようにしようと思えばそれだけ利用者側の初期設定的なものが必要になってくると思います。
それだったら「今使っているマウスにジャックを刺すだけでいける」改造マウスの方が格段に使いやすいですね。
テクノロジーで「暮らしが便利になる」のは使うか使わないか利用する人が決めたら良いですが、兄のような障害を持った人が少しでもストレスが軽くなるようなツールである場合「よくわからないからうちでは使えない」ってならないようにするべきだなぁと思っています。
ということで世の中にある製品は色々よく考えられて作られているな〜と思うのでありました。